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  • (文法)心・感情・怪我の動詞は日本語と英語で発想が違います

    2016.1.2

    日本語では次のように言います:

    私は走る。

    私は食べる。

    私は寝る。

    私は失望する。

    私は喜ぶ。

    私は驚く。

    私は怪我をする。

    ……全部「自分が〜する」という感じですよね。

    日本語が理解できる方なら同意してくださると思います。

    「走る」のも「食べる」のも「寝る」のも「失望する」のも「喜ぶ」のも「驚く」のも「怪我をする」のも全て能動形で表します。

    「(他者によって)〜される」のではなく全て「(自分から)〜する」のです。

    心・感情・怪我に関しても、他のあらゆる行動と同じように自分が原因で起こるかのように言うのが日本語です(「不注意な後方車に追突されて彼は大怪我をした」のようにたとえ実際には自分のせいではなくても能動形で言えるのが日本語です。)。

    それゆえ私は日本では禅をはじめとする心・精神を鍛錬する文化が発展したのだと思っています。

    失望などの卑しい感情は自分の心が原因で生まれているのでそれを鍛錬する必要があったわけです。

    _______________________________________________

    一方英語はどうでしょう。

    上の日本語に合わせてみますね。

    私は走る。→ I run.

    私は食べる。→ I eat.

    私は寝る。 → I sleep.

    私は失望する。 → I am disappointed.

    私は喜ぶ。 → I am delighted.

    私は驚く。 → I am surprised.

    私は怪我をする。 → I am injured.

    7つあるうち、上の3つは日本語と同じですね。

    能動態です。

    しかし下の4つはどうでしょうか。

    be+p.p.(p.p.=いわゆる過去分詞)、すなわち受動態です。(「過去分詞」というのは過去形に似ているためにそう呼ばれているのですが、全く過去とは関係がないという問題だらけの名前です。弊塾では、「過去分詞」の「見かけ」ではなく「性質」に100%合致した名前で呼んでいます[企業秘密で非公開です。]。「過去分詞」という名前で呼んでいる限り「過去分詞」の本質がわかっていないと断言しておきます。……皆さんの周りの英語講師たちはみんな「過去分詞」で教えているでしょうねぇ。そんな名前で教えられて可哀想に。)

    受動態「〜される」という意味ですよね。

    ということは、英語では「失望する」「喜ぶ」「驚く」「怪我をする」といった心・感情・怪我の表現に関しては「失望させられる」「喜ばされる」「驚かされる」「怪我をさせられる」といった受動態で表記されます。

    自分に原因があるのではなく、外に原因があると考えるのです。(ですから、英語の文化圏では外を豊かにすることが心を豊かにする、という物質文明が発達したのだと私は思っています。)

     

    このように英米人は、心・感情・怪我の原因外にあると考えています(実際考えてみるとそうですよね。「事故で怪我をした」という場合……自分が原因で怪我をした場合もあるでしょうが、たいていは相手の過失で怪我をさせられているわけです。「失望する」場合も、外に失望の原因があって失望させられているわけです。何も外に原因がないのに、勝手に心が失望している訳ではないのです。客観性という観点では英語の方が正しいかもしれません。)。

    ですから自分が原因で「失望する」「喜ぶ」「驚く」「怪我をする」なんてあり得ない、存在しない事柄ということになります。

    ですからそれらを表す英語表現は原則として存在しません(わずかな例外があります。後述します。)。

    「失望させられる( be disappointed )」「喜ばされる( be delighted )」「驚かされる( be surprised )」「怪我をさせられる( be injured )」というbe p.p.を能動態にするとdisappoint=「〜を失望させる」、delight=「〜を喜ばせる」、surprise=「〜を驚かせる」、injure=「〜に怪我をさせる」という使役(〜させる)的な意味を必ず含む英語の心・感情・怪我の動詞の特徴ということになります。

    _______________________________________________

    上記のような考え方・文化であるにも関わらず、英語でも一部自動詞の心・感情の動詞が存在します。

    上記で否定した「驚く」のような、「(自分から)〜する」に当たる表現です(怪我に関してはありません。自分が原因で怪我をする場合はinjure oneself「自分自身に怪我をさせる」のように言います。)。

    これは英米人でも心の内側から強い感情が自然と湧き上がってくることがあることを表していて、一般的な表現のbe p.p.で表される感情より強い感情を表します。

    (mournが「(人の死を)悲しむ」であることが好例。mournは人の死に際して、自然と心の内側から悲しいという感情が湧き上がってくることを表している。他の動詞も同様に強い感情だと考えると良い。)

    以下に具体例を列挙します:

    marvel ( at 〜)(〜に)驚く、驚嘆する

    mourn ( over〜)(人の死などを)悲しむ、嘆く

    start ( at〜 )(〜に)ぎくっとする、(目玉が飛び出るほど)驚く

    delight ( in〜 )(〜を)喜ぶ(「〜を喜ばせる」の意味もあり)

    startle ( at〜 )(〜に)驚く(「〜を驚かせる」の意味もあり)

    rejoice ( at, over , in〜)(〜を)大いに喜ぶ(「〜を喜ばせる」の意味もあり)

    repent ( of〜 )(〜を)後悔する

    relax 落ち着く(「〜をリラックスさせる」の意味もあり)

    これらは非常に意味が強い動詞です。

    上位校での文法問題での出題も見受けます。

    是非覚えてしまってください。

    自信につながりますよ。

     

    心・感情・怪我の動詞に関しては、日本語英語根本の考え方が全く違います

    根本の考え方を理解してください。

    英語は感情や怪我は受動態で表すのだ、という丸暗記ではダメです。

    外に原因があるから受動態になるのです。

    このように、単なる丸暗記ではなくなぜそうなるのかを理解することが、短期的にも長い目で見たときにも真の力に繋がるのです。

    根本からの理解が英語(もちろん英語以外の語学でもどんな勉強でも)の真の深い理解へと繋がっていくのですよ。

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