タフ構文とは
タフ構文とは:(Wikiのリンクも貼っておきます。Wikiでもろくに説明はしてありません→https://ja.wikipedia.org/wiki/Tough構文)
英文の原則に以下のことがある。(1)to不定詞の意味上の主語は、原則として文の主語と一致する(2)他動詞(もしくは他動詞に準ずる群動詞)は必ず対象語である目的語を必要とする。
(1)の例:I want to visit Paris.(to visit Parisの意味上の主語は文の主語のIと一致している)
(2)の例:I have a pen. (haveは他動詞なので、必ず対象語である目的語のa penを必要とする)
この原則を一見破っているように見える構文の1つがタフ構文である。日本の英語教育業界は正面からの説明ができないので、この構文はこういう文章に書き換えをするのだ、と言って、タフ構文自体の説明をせずに書き換えの問題にすり替える。なぜ上記の2つの例外的な内容が起きるのかを説明ができない限り、タフ構文を説明したことには一切ならない。(逆に言えば、説明ができたならタフ構文が解明できたということになる)
タフ構文は、S is 形容詞 to不定詞.という文型を取る。
This question is difficult to solve.この問題は解くのが難しい。
That river is dangerous to fish in.あの川は中に入って釣りをするには危険だ。
This house is comfortable to spend summer in.この家は夏を過ごすのに快適だ。
The match is exciting to watch.その試合は見るのにワクワクする。
一番上の文章で確認すると、to solveの意味上の主語は文の主語のThis questionにはなっていない。他の文章も一律に、to不定詞の意味上の主語が文の主語になっていないことを確認すること。またto不定詞の中の動詞に全て目的語が欠けている。
これを日本の英語業界は、Sの名詞をto不定詞の欠けている目的語にし、空いたSの場所に形式主語のItを置いて説明したことにする(This question is difficult to solve.→It is difficult to solve this question.のように。他も全て同様)。書き換えがあるということを説明したら、説明したことになるなら、例えばI think that she is kind.が、一般的な原則から外れている文章だと仮定して、この文章がI think her to be kind.で書き換えができる、と説明したらI think that she is kind.を全く正面から説明していないのに説明したことになるのか……。説明になっていないことは明白(ないよりましだが。)。これがタフ構文に対する日本英語業界の現状。日本の英語の先生方には、なぜそうなるのか、というもっと科学的な思考を持って、生徒にわかる解説をする努力をしてもらいたいものである
ではどう考えるのか。
(1)意味上の主語の問題点について:
They speak Spanish in Mexico.メキシコではスペイン語を話す。
これを受動態にすると:
Spanish is spoken in Mexico.となり、by themは省略される。by一般ピープル、は省略されるということ。これがタフ構文でも適用される。「意味上の主語」になっている一般ピープルは、一般ピープルであることを強調する必要がない限り省略される。This question is difficult for people to solve.が本来の文章で、for peopleがby them同様に省略されたと考えられる。これならto solveするのがpeopleなので問題はない。他の文章も全て同様である。
(2)目的語の問題点について:
実はto不定詞の目的語は本来は全て存在するものである。This question is difficult to solve.ならThis question is difficult to solve it.になるしThat river is dangerous to fish in.ならThat river is dangerous to fish in it.であった。
ここで、主語は「説明される語」、主語より後ろの部分は「説明」になっていることを確認して欲しい。This question is difficult to solve.なら主語のThis questionは説明されていること、This questionより後ろのis difficult to solve.は、主語の説明である。説明されるものは「あいまいなもの」、一方説明は「明確なもの」である。
「明確なもの」の中に「あいまいなもの」を入れたら「明確なもの」ではなくなる。それゆえ「説明の中に説明されているものを入れてはいけない」というルールが成り立つ。その結果、主語を、to不定詞の目的語に使ってはいけないということになり、This question is difficult to solve it.は説明される、あいまいな語である主語のitは省略をしなくてはならず、This question is difficult to solve.という文章が正しいということになるのである。
タフ構文の正体は、「to不定詞の意味上の主語の一般人称は省略される」「説明されるものを説明の中に入れてはいけない」というルールで全て解明できる。「一般的に言って、~するのに・・・なものである」という内容を表すのに使う表現と考えられる(一般的に言って解くのが難しい、一般的に言って中で釣りをするのが危険だ、一般的に言って夏を過ごすのに快適だ、のように)。言い換えをできることを説明したから説明したことになる、なんて非科学的な内容を努努信じないこと。全くナンセンスである。
タフ構文で使われる形容詞は、以下のものが代表的である。(ただ上記で述べた通り、「一般的に言って~するのに・・・だ」というニュアンスを表す形容詞なら、以下のもの以外でもタフ構文として使える。)
difficult, hard, tough(難しい)easy(簡単だ)
safe(安全だ)dangerous(危険だ)
comfortable(快適だ)uncomfortable(不快だ)painful(痛ましい)
impossible(不可能だ)
exciting(ワクワクする)